|
|
日本冠疾患学会雑誌 Journal of The Japsanese Coronary Association |
|
年4回発行される学会雑誌の目次が掲載されています。Vol.11以降はPDFで全文をご覧いただけます。 |
|
|
Vol. 17, 2011 / |
●原著 |
冠動脈疾患におけるH. pylori感染の頻度と除菌による血管内皮機能の改善について
—血流依存性血管拡張反応(FMD)を用いた検討— |
松村 憲太郎 |
香川井下病院循環器内科 |
|
冠動脈近位部に器質的有意狭窄のある冠動脈疾患において,Helicobacter pylori(H. pylori)感染の頻度を胃内視鏡による迅速ウレアーゼ試験を用いて年齢別に検討した.またH. pylori感染者の血流依存性血管拡張反応(flow-mediated vasodilatation: FMD)の特徴と一次除菌によるFMDの変化を検討した.冠動脈造影と迅速ウレアーゼ試験を行った413例(男194例,女219例,平均73±11歳)を冠動脈疾患群139例と非冠動脈疾患群274例に分けた.また年齢区分を65歳未満の若年中年群(86例),65歳から79歳までの高齢群(194例),80歳以上の超高齢群(133例)に分けた.H. pylori陽性率は全体の70.7%で,年齢別の陽性率に有意差はみられなかった.冠動脈疾患群のH. pylori陽性率は82.0%で,非冠動脈疾患群の65.0%に比し有意(p=0.0002)に高かった.冠動脈疾患群のH. pylori陽性率は男性で有意(p=0.0014)に高く,女性で有意差はみられなかった.年齢別では超高齢群でのみ冠動脈疾患群のH. pylori陽性率が有意(p=0.0006)に高かった.FMDは380例で測定した.H. pylori陽性群(270例)のFMDは4.4±2.6%で,陰性群(110例)の7.3±3.5%に比し有意(p<0.0001)に低下していた.PPI+AMPC+CAMを用いた一次除菌はH. pylori陽性例の56.2%で施行し,81.1%で除菌に成功した.除菌成功率に年齢別有意差はなかった.除菌成功例のFMDは3.3±1.7%から5.6±2.2%へと有意(p<0.0001)に改善したが,不成功例のFMDは変化しなかった.【結語】迅速ウレアーゼ試験を用いたH. pylori陽性率は男性の冠動脈疾患で有意に高く,また80歳以上の超高齢の冠動脈疾患患者で有意に高かった.H. pylori感染者は血管内皮機能が障害されており,除菌により内皮機能が改善することが示唆された. |
全文PDF |
|
Keyword: Helicobacter pylori, rapid urease test, coronary artery disease, flow-mediated vasodilatation (FMD), endothelial function |
|
|
Matsumura K: Prevalence ofH. pyloriinfection in patients with coronary artery disease and improvement of vascular endothelial function after eradication ofH. pylori: assessment by flow-mediated vasodilatation (FMD).
J Jpn Coron Assoc 2011; 17: 84-93 |
2010年6月10日受付,2011年1月6日受理 |
|
≪ Vol.18以降〜最新号 ≪ Vol.17目次へ ≪ サイトTOPページへ |
|
|